『僕がもっとがんばっていたら、こんなことにはならなかったのに!』、『わたしががんばってさえいたら、こんな事態にはならなかったんだ。』と思ってしまったことってありませんか?
人生に失敗をしてしまったときに思い浮かんでくる言葉なんですよね。
『もっとがんばっていれば・・・』
大学受験に落ちたり、就職試験に落ちたりといった、自分一人が対象のときは後悔して終わりなんです。
このときは落ち込むことはありますが、よっぽど自分が全力で取り組んでいない限りは、わりと早く回復します。
罪でもなんでもなく、次の機会に活かせばいいんです。それほど引きずることもないと思います。
だけど自分が全力でがんばって取り組んでいた場合は、簡単には回復しません。
『もっとがんばっていれば・・・』
この言葉が出てきます。
人間っておかしなものですよね。
さほどがんばっていなければ、『よし!次がんばろう!』と思ってあまり引きずらないのに、全力でがんばっていたときの方が『もっとがんばっていれば・・・』と引きずるんです。未練が残るんです。
あきらかにがんばっていた自分の方が、がんばっていなかった自分の方より、『もっとがんばっていれば・・・』と思うんです。後悔も強いんです。
『もっとがんばっていれば・・・』と自分を責めている人に言いたいことは、
もっとがんばっていたのが今のあなたの姿なんですよ?
もう限界までがんばっていたのが、過去のあなたなんです。
適当にしていたらこんなにも『もっとがんばっていれば・・・』と自分を責めません。
あなたが全力でがんばっていなかったら、『もっとがんばっていれば・・・』なんて言葉、簡単に流せます。
自分一人が対象のときはまだ楽です。
しんどいですけど、乗り越えられます。
最悪なのは対象が自分一人じゃないときです。
対象が複数いるときは後悔や未練とともに、新たに罪悪感という感情も加わります。
部活動で格下のチームに負けたとき、幸せにすると誓ったのに離婚しなくてはならなくなったときなどがあります。
野球で例えますが、あなたは高校二年生です。9回裏1点差、あなたのチームが負けてます。先輩たちががんばり、2アウトながら満塁の状況になりました。1打同点、逆転のチャンスです。そこであなたは代打として送り込まれます。
練習通り、普段の力が出せた上でのアウトなら、まだいいんです。『自分さえ打てていれば。』と思ってしまうかもしれませんが、最悪ではありません。
最悪なのはバッターボックスに立つと緊張とプレッシャーで、足が震えます。目の前も真っ白になり、自分がバットを握っているかわからないほどの状態です。あなたは立っているのがやっとで、一度もバットを振ることができませんでした。気がついたときには試合は終わっていました。引退のかかっていた先輩たちは皆泣いています。
先輩たちの三年間を終わらせたのがあなたです。
全力さえ出せていたら勝てていたかもしれないのに。
それどころかあなたは自分の力をまったく出せずに終わってしまいました。
あなたは自分の人生だけでなく、先輩たちの人生まで変えてしまいました。
しかも悪い方向に。
『自分のがんばりが足りなかったから、皆の人生まで狂わせてしまった。』と思ってしまいます。
・・・
・・・
これね、
あなたの単なる思い上がりにすぎないんです。
対象の相手がいるときは、あなただけの責任ではありません。
『自分さえがんばっていれば』と思うことは、実は相手の責任を横取りしようとする傲慢さなんです。
恋人と別れることになりました。
『わたしが悪かったんだ。もっと彼のことを大切にしてあげてたらよかった。』
違います。
バスケの試合で負けてしまいました。
『エースの自分が点を取らなきゃいけなかったんだ。俺さえもっと点を取っていたら勝てていた!』
違います。
あなたの責任は、責任を相手の人数で割った数字だけなんです。
恋人の場合はあなたと彼氏、責任は半分半分です。
バスケの試合は選手5人、一人辺りの責任は20%です。控え選手や監督のことも考えるともっと少ないんです。
だけどあなたは、100%自分の責任だと思って自分だけを責めるんです。
相手を責めることをしないんです。
いや、あの、
相手を責めてもいいんですよ?
すべて自分の責任だと思わなくていいんですよ?
あなたは人のせいにするのは悪いことだと考えているのかもしれませんが、
けっこう皆、自分のことを棚にあげて、人のせいにして、上手に生きてますよ。
あなたに責任をなすりつけて、自分は無関係だと思える人けっこういます。
100%相手が悪いと自信をもって言える人、たくさんいます。
恋人と別れるようになったのは『俺に全然合わせない使えない女だった。』と何の悪気もなく心から思える人、たくさんいます。
バスケの試合で負けてしまったのは『エースの私ががんばったのに、他の女が使えないからあんなチームに負けてしまった。足を引っ張られた。』と何の悪気もなく心から思える人、たくさんいます。
あなたは『自分さえがんばっていたら・・・』と後悔していますが、あなた一人だけががんばらなくてはいけないってことはないんです。
人のせいにするのは無責任と思うかもしれませんが、あなたの場合は人の責任まで横取りしています。
『自分さえがんばっていれば・・・』とあなたは後悔していますが、過去のがんばっていたあなたが出した結果が今なんです。
身も蓋もない言い方をすれば、あなたにはどうしようもできないことだった。
ただそれだけのことなんです。
あなたはそれを認めることが嫌なのですが、そのせいで背負う必要のない罪を背負っています。
あなたに罪はありません。
いつかそんなあなたを認めることができたらいいですね。
心優しいあなたの人生が幸せに包まれますように。
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