皆さんはもしかしたらあったかもしれない可能性を考えてしまうことってありませんか?
『あのときこうしていれば・・・』、『あのときにああなっていれば・・・』と今とは違う生活を想像してしまうことってありませんか?
ありえなかった、【もしも】について考えてしまうことはありませんか?
多少なら人間はこの【もしも】について考えます。
【もしも】のことを考えるのは何も悪いことではありません。
未来について『もしも宝くじが当たったら何に使おう?』と期待もするし、『もしも病気になってしまったらどうしよう?』と不安にもなります。
過去について『もしもあのときああしていたら・・・』、『あのときに違う方を選んでいたら・・・』と考え、それから連なる現在を想像します。
人間なら【もしも】を考えるのは当然のことです。
ですが、この【もしも】、未来について考える場合と過去について考える場合はまったく反対の意味を持ちます。
未来についての【もしも】を考える場合は、現在に不満がないことが多いです。
現在でも不満はなく十分幸せだが、さらなる幸せを求めたいと思うときに想像します。
現在が満たされていて幸せだということがわかるから、それを壊してくる危険性があるものに恐怖を感じます。
『もっと幸せになりたい!』、『どうか幸せの現在がいつまでも続いてくれ!』なんです。
未来についての【もしも】は、手に入れたいという欲望と、失いたくないという願望なんです。
過去は違います。
過去についての【もしも】を考える場合は、現在に不満があることが多いです。
現在に不満があり幸せを感じることが少なく、過去のあの時点で違う選択をしていたら現在の自分は幸せを築けていられたんじゃないかと想像します。
現在の生活が満たされていないことがわかるから、こんなつまらない人生、不幸になってしまった人生の原因を妄想します。
『なんでこんなことになってしまったんだ!』、『どうして幸せになれるはずの手を払いのけてしまったんだ!』なんです。
過去についての【もしも】は、こんなのは嫌だという現在の拒絶と、幸せになれたはずなのにという後悔なんです。
もちろん『ああしていなければこんなに幸せな今はない。』という感謝の【もしも】もあります。
現在が幸せで仕方なくて「ありがとう。」の【もしも】の場合もあります。
ですがそれよりも強い【もしも】は拒絶と後悔なんです。
人はね、幸せに慣れていく生き物なんです。
夢のない話ですが、感謝の【もしも】はその場限りの一過性で、拒絶と後悔の【もしも】は継続的です。
人間は誰もが未来の【もしも】について考えます。
これから起こるかもしれない可能性を想像し、それにどう対応していくかを考えていきます。
他の動物のように今だけに集中して生きることは不可能です。
今の生活を確認し、将来のことを考えます。
ですが、過去の【もしも】については考えないで生きていける人がいます。
後悔をしない生き方をしている人たちです。
その場その場での今をしっかりと受け入れてそれを糧に未来を目指し、そこにたどり着いた人たちです。
現在の位置に満足し、過去を誇りに思っている人たちです。
今に満足しているので『もしもしていれば・・・』、『もしもしていなかったなら・・・』なんてありもしない仮定で振り返る必要もないんです。
過去の【もしも】についてよく考えてしまう人は、今の人生に不満があり『こんなはずではなかった。』と後悔しているんです。
この過去の【もしも】なんですが、一度考えだすと止まりません。
現在に不満があればあるほど、強い気持ちでいくつもの【もしも】が思い浮かんできます。
それこそそんな選択をすることはありえなかっただろというくらいの【もしも】が次々に浮かんできます。
そしてその【もしも】が叶ったときの今を想像し、自分が今どれだけ不幸な境遇にいるのかを確認します。
手に入っていたかもしれない幸せを逃してしまったことを実感します。
悔しくて泣けてきます。
つらくて泣けてきます。
『なんで自分はこんなに不幸な人生を歩いているんだろうか?』と悲しくなります。
『よりにもよってここまで落ちてしまうのか。』とむなしくて笑えてきます。
【もしも】と比べてしまうとキリがないんですよね。
どうしてもそれができなかった現実があるのに、【もしも】を出されたら勝てるはずがないんです。
妄想の方が現実よりもあなたに優しい世界になってしまうのは当たり前なんです。
でもね、一度考え始めると止めることは難しいんです。
今よりも良い世界にいるはずの自分、幸せとまではいかなくてもここまで落ちぶれていない自分、これらの魅力は今がつらい人ほど強力に誘惑してきます。
もしかしたらあったかもしれない現在の可能性は、今はあなたの手の届かないところにある世界です。
あなたが今さら何をしたところで追いつくことなんかできません。
そのことをあなたもわかっています。だからこそ悔しいんです。
【もしも】を考えることは決して悪いことではありません。
ですが【もしも】ばかり考えすぎてしまうと、今がよりつらくなってしまうかもしれません。
前を向くためにも過去の【もしも】が必要になるときはありますが、考えすぎて底なし沼にはまってしまわないように注意してくださいね。
心優しいあなたの人生が幸せに包まれますように。
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